体はすべてを知っている〜消化不良の心と、生まれ変わる私の器〜

コラム

「全部自分で抱え込んでしまう」

私には昔から、そんな強い癖がありました。 悩みやトラブルがあっても人に相談せず、嫌なことがあっても誰にも言わずに自分の中で処理する。

一見「頑張り屋さん」で聞こえはいいかもしれませんが、本当のところ、私の心にとっては大きな負担でした。

時が過ぎれば、表面上の出来事は忘れていきます。 始まりがあれば、終わりもある。 でも、私の内側で「終わっていないもの」がありました。

それが、体の不調——慢性的な「消化不良」でした。

少し食べすぎると必ず調子が悪くなり、疲れが溜まると一晩中お腹が痛くて眠れない。冷たいものは全身の不調に繋がり、食べると痛くなる食材がどんどん増えていく……。 「この原因は、食べ物だけではなく、心から来ているのではないか」 どこかで薄々、そう感じていました。

未消化の「感情」という毒素(アーマ)

アーユルヴェーダでは、消化しきれずに体に溜まった未消化物のことを「アーマ(毒素)」と呼び、これが万病の元になると言われています。そしてこのアーマには、食べ物だけでなく「未処理の感情」も含まれるのです。

胃や腸といった消化器官は、脳の次に神経が集中している「第二の脳」。 私たちのうやむやな不安、抑え込んだ怒り、他人の目をダイレクトに引き受けて、身代わりになって固くなってくれる場所です。私の場合、一人で抱えきれなかった感情がアーマとなり、胃や腸にずっと蓄積されていたのでした。

激しい腹痛に襲われるたび、私はお腹に手を当てて、その痛みを丸ごと感じ切ろうとしました。 逃げずに、真正面から向き合う。 すると不思議なことに、痛みとともに過去の記憶が蘇ってくるのです。

つらいのに平気な顔をして完璧にやり切ろうとしていた場面。食事も摂らずに働き続けていた日々。 「あの時、もう少し自分を大切にしてあげればよかったな」 お腹の痛みとともに心の痛みをも丸ごと受け入れているうちに、不思議と痛みが引いていく、そんな経験を何度も繰り返しました。

右のお腹の悲鳴:虫垂炎という「強制終了」

そんなある日、再び激痛が走りました。 コロナ禍という世界的な激変の中で、仕事や生活を「自分の力でなんとかコントロールしなければ」と、頭と理性をフル回転させて必死に戦っていた時期のことです。

ついに限界を迎え、救急車で運ばれました。診断は「虫垂炎(盲腸)」。 手術をして以来、あれほど私を苦しめた腹痛はほとんどなくなりました。

あとから知ったことですが、虫垂があるお腹の「右側」は、エネルギーの視点で見ると「外側に向かう知性、完璧主義、コントロール」を司る領域なのだそうです。 自分の力で状況をコントロールしようと必死だった私の「右側」に、過剰な熱とプレッシャーが溜まり、肉体が限界を迎えて「手術」という形でお掃除(強制終了)をしてくれたのだと思います。

便秘が教えてくれた、最後の「握りしめ」

ようやく腹痛から解放され、身も心も軽くなっていたのですが、昨年末から今度は「便秘」になるようになりました。これまで便秘とは無縁だったため、年齢や寒さのせいかな、と思っていました。

しかし先月、自然と元の快調な状態に戻ったとき、ふと気づいたのです。 昨年から今年の前半にかけて、私は生活や仕事、自分のルーツや使命といった「本質的な部分」の大々的な見直しと修正を行っていました。それは、改めて自分の弱さや未熟さと向き合う、しんどい時間でもありました。ただ、「答えがわからなくても、とにかく逃げずに向き合う」ということだけを続けていたのです。

エネルギーの視点で見ると、便秘とは「古い記憶や、慣れ親しんだ価値観を手放すのが怖くて、ギュッと握りしめている状態」を意味します。 「新しいステージへ移行したい、でもこれまでのやり方を手放すのは怖い」という無意識の最後の葛藤を、私の腸が健きに引き受け、便秘という形で表現してくれていたのでしょう。魂が大きな決断をしようと、お腹のなかでじっとエネルギーを溜め込んでいたのです。

ここ1ヶ月ほどで、心の中で「まあいいか」と色々なものを手放せた瞬間、腸も「あ、もう流していいんだね」とリラックスして動き出してくれました。

潜在意識からの「手術完了の通知」

お腹が綺麗に開通した今月、私は二つの不思議な夢を見ました。

一つは、はるか向こうから大水(津波)が押し寄せ、あたり一面が水浸しになる夢。私はスマホを握って脱出しようとしますが、途中で「財布」を置いてきたことに気づき、引き返してそれを取りに戻る夢です。

そしてもう一つは、左の脇腹に刃物が刺さっている映像を、なんの感情(恐怖や痛み)もなく、ただ淡々と見つめている夢でした。

不穏な夢のようですが、目覚めた私は、なぜか言葉にできないほどスッキリとした気分でした。

身体の「左側」、そして左脇腹にある胃や脾臓は、「すべての感情や過去の記憶を消化・ろ過する場所(女性性・受容)」。 その答えが腑に落ちたとき、すべてが繋がりました。

あの左脇腹の刃物の映像は、「かつてのように、他人の感情や過去の記憶を溜め込んで、消化不良を起こすシステムは、これにて完全に切除しましたよ」という、肉体と潜在意識からの「手術完了の通知」だったのです。だからこそ、何の痛みも恐怖も伴わなかった。

そして、その前に見た大水の夢は、これまでの古い価値観や不要なエネルギーを丸ごと洗い流し、その濁流の中でも「自分の人生の土台(財布)」をしっかりと自らの手で守り抜くという、新しい私(新OS)の予行練習だったのです。

あなたの「器」も、いつでも生まれ変われる

「内面の変化は自分では気づきにくいけれど、体は正直」

私の肉体は、頭で気づくよりもずっと早く、魂の目覚めを察知していました。3年以上もの時間をかけ、虫垂炎や便秘というステップを経て、完全に「クリーンで、風通しの良い、何でも美味しく消化できる新しい器」へと、私を生まれ変わらせてくれたのです。

いま、私の内側には、外の天気がどうであれ微動だにしない、どこまでもクリアで温かい静けさが広がっています。

もし、今あなたの体が、痛みや便秘、肌荒れ、冷えといった「不調」という名の声を上げているとしたら、それはあなたを苦しめるためではなく、「もう抱えきれない感情があるよ」「新しいステージへ進む時だよ」という、体からの健気なサインかもしれません。

体は、すべてを知っています。 その声を無視せず、優しくお腹に手を当てて、丸ごと受け入れてあげることから、本当の癒やしと変化が始まります。

当サロンやヨガのクラスが、あなたがご自身の愛おしい身体の声に耳を傾け、不要なものを手放して、新しくクリーンな「器」へと生まれ変わるための安心できる場所(聖域)となれば幸いです。

今日もあなたのお腹が、心地よく、温かく満たされていますように。

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